2013年2月14日木曜日









②「スターリン秘史―巨悪の成立と展開」
   不破哲三/著    雑誌「前衛20132」より

「スターリン秘史」の執筆にあたって②


スターリン時代の「50年問題」についても、私たちは、スターリンの主導で開始された無法な干渉行為の真相をはじめて本格的につかむことができました。

 私は、「干渉と内通の記録」を書きあげた時、「赤旗」連載の最終回で、次のように書きましたが、これはこの仕事をふりかえるとき、今も変わらない私の感慨となっています。

 連載を執筆しながら、私が日々に思いをあらたにしたことは、ソ連共産党指導部が、自分たちの覇権主義の野望の前にたちふさがる最大の障害として、日本共産党をいかにおそれたか、そして、日本共産党の自主独立の路線をくつがえすために、可能なあらゆる方策に訴え(巨額の秘密資金であれ、日本の反党分子の買収であれ、〝親ソ〟政党・社会党へのてこいれであれ、外国のソ連追従の共産党や国際組織の動員であれ)、その目的のためには文字どおり手段を選ばないやり方をとったことです。

 もちろん、私たちは、ソ連覇権主義とたたかうさいに、こうした作戦計画や陰謀の内面については、知るよしもありませんでした。日本共産党は、ソ連側が文章で攻撃してくれば反撃の論戦をする、内通者を使っての干渉工作をしてくればこれを正面からうちくだく、大衆運動に分裂をもちこんでくれば、その分裂策動を大衆的にも孤立させてこれをうちやぶる、国際政治のうえで侵略や干渉の誤りがおかされれば、正義と真実にもとづいて徹底した批判をする、という闘争を、正々堂々とすすめてきました。

 いまソ連共産党の内部文書をみると、私たちのこうしたたたかいの一つひとつが、干渉者たちのもっとも痛いところをつき、彼らを追い詰めて、干渉作戦を挫折や破綻に追いこむ力を発揮してきたことが、よく分かります。

当時、世界最大の社会主義国であることを誇っていたソ連共産党の指導部が、その権力と資金力をどのようにつぎこんでも、日本共産党の確固とした自主独立路線をくつがえすことはできず、逆にソ連覇権主義の墓穴を掘る結果となったのです。(同書・下384ページ)

 私がうけた印象として、もう一点つけ加えれば、それは、干渉工作の実行にあたったソ連共産党のすべての関係者が、世界の共産主義運動の「公認」の諸原則を真っ向から踏みにじる自分たちの悪業を、何の痛みも感じることなく、日常の業務として実行していること、そして、そのあからさまな経過を公式の文書で党指導部に平然と報告している姿でした。この世界では、「マルクス・レーニン主義」とか「共産主義の大義」などを決まり文句として口にするとしても、これは表舞台だけで通用する建前にすぎず、実際の行動を支配するのはソ連覇権主義の利害であり、「マルクス主義」も「レーニン主義」も「共産主義」も問題にはならないのです。社会主義・共産主義の事業とは無縁なこの体制は、明らかにスターリン時代につくりあげられ、後継者たちによって、自分なりの部分的修正を加えながらも、受け継がれてきたものでした。

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